今回の一般質問は3項目にわたり質問しました。少し長文になりますが、3回に分けて質疑の要約を掲載します。

「超高齢社会におけるエスカレーターの安全利用について」

市営地下鉄におけるエスカレーターは、左右どちら側に立つことが正しいのか、利用の際に禁じられている行為を含め、正しい利用方法は?
≪答弁・交通局≫
「エスカレーターはステップ上に立ち止まって利用する前提に設計されていること」
「左右いずれかの手すりにしかつかまれない方がおられること」
「歩行はお客様同士の接触を招き、事故につながる恐れがあること」
などから地下鉄では「2列で、手すりにつかまり、歩行しない」ということが安全に利用するための正しい乗り方であると認識。
エレベーター協会及び他の鉄道事業者についても共通の認識で啓発を実施している。

地下鉄に設置してあるエスカレーターの緊急停止は1年間に何件くらい発生しているのか、また、どのような状態で緊急停止になるのか?
≪答弁・交通局≫
緊急停止のすべての件数の集約は行っていない。
エスカレーターステップ側面で衝撃を感知した場合、ハンドレールの入込口に物が挟まった場合、ステップが浮き上がった場合等に緊急停止する。

平成26年度以降、地下鉄駅内のエスカレーターでの事故件数、また救急搬送人数について年度ごとにお示しください。またどのような事故内容だったのか主な内容は?
≪答弁・交通局≫
【事故件数】26年度34件、27年度31件、28年度48件、29年度11件(8月末現在)
【救急搬送人数】26年度18人、27年度14人、28年度24人、29年度7人(8月末現在)
【事故内容】ふらつき等による転倒、歩行等による接触での転倒、荷物落下,スカート等の巻込み等。

どのような年齢層が事故にあったのか?
≪答弁・交通局≫
平成26年から平成29年8月末までの事故件数は124件。そのうち,
20歳未満    3件( 2%)
20~30代  24件(20%)
40~50代  29件(23%)
60代以上   61件(49%)
年齢不明     7件( 6%)

地下鉄駅内でのエスカレーター事故を防ぐため、交通局は日頃どのような取り組みを行っているのか?
≪答弁・交通局≫
・エスカレーター付近の床面及び手すり等への啓発ステッカーの掲示
・職員や駅構内放送による「エスカレーター歩行禁止」の呼びかけ
・平成29年度より,エスカレーターリニューアル工事に合わせて,マナー啓発の音声案内を付加(全186台中17台が整備完了,29年度中に28台となる予定)
・定期的なエスカレーター安全利用キャンペーンの実施
・全国の鉄道事業者等が共同で行う「みんなで手すりにつかまろうキャンペーン」の実施

このことに関し交通局として今後の課題は何か?
≪答弁・交通局≫
エスカレーターの利用マナーについては,混雑緩和のために片側利用を推奨していた時期もあり片側空けの利用が一旦定着してしまっているため,すぐに改善されるものではないと認識。
そのため,お客さまひとりひとりの意識を高めていくことが大切であり,引き続き様々な取り組みを行い,エスカレーターのマナー向上意識の啓発に粘り強く取り組んでいく。
現在実施している「みんなで手すりにつかまろうキャンペーン」について,鉄道事業社だけではなくさらに輪を広げ,多くの事業者とともに共通の課題認識として啓発に取り組んでいきたい。

平成28年中に市内においてエスカレーター利用中にケガなどにより通報を受け救急出動した件数、そのうち病院へ搬送したのは何人か。過去10年間の合計もそれぞれお示しください。また、具体的な救急搬送の事例をお示しください。
≪答弁・消防局≫
【平成28年】    救急出動件数61件、 搬送人数54人
【過去10年間計】 救急出動件数760件、搬送人数681人
【救急搬送事例】
エスカレーター乗降の際に段差につまずいて転倒,他人のキャリーバッグが落下してきた
ふざけていて転倒,他人と接触して転倒 など

28年中に搬送した54人の年齢区分の内訳と割合、同様に10年間の合計681人の年齢区分の内訳と割合は?

≪答弁・消防局≫
【平成28年中】65歳以上36人・約67%、18歳以上65歳未満10人・約19%、18歳未満8人・約15%
【過去10年間計】65歳以上453人・約67%、18歳以上65歳未満186人・約27%、18歳未満42人・約6%

交通局ではこのようなエスカレーター利用に関し不安がある高齢者の意見を把握しているのか?
≪答弁・交通局≫
高齢者に特定したアンケートは実施していないが,毎年,高齢者も含んだ地下鉄利用者150人をモニターに選定し
地下鉄に関するアンケートを年3回実施している。エスカレーターに関するご意見としては,
・キャリーバッグやベビーカーで利用しているのを見て危険だと思った。
・スマホの画面を見ながら利用しているのを見ると怖いと感じた。
・右側の列に歩かず止まって乗っていたら、後ろの人にせかされた。
・駆け上がったり,駆け下りたりして危ないと思うときがある。などのご意見があった。

超高齢社会を迎えた今、エスカレーター利用に関する高齢者の目線での取り組みが必要と思うが保健福祉局のご所見は?
≪答弁・保健福祉局≫
超高齢社会において健康寿命を延伸していくためにも,高齢者に積極的に外出していただくことは重要であると考えている。保健福祉局では,社会的に弱い立場に置かれている方々が移動や日常生活において不安を抱えていることへの理解を深める「心のバリアフリー」の取組みを進めている。この取組みの中で様々な機会を捉え,交通局をはじめ他の鉄道事業者などと連携しながら市民のエスカレーターの安全利用に対する意識向上に努める。

エスカレーターに限らず、事故から高齢者を守るという思いの取り組みは、同時に小さな子どもや障害のある方も守ることにつながっていくと思う。
超高齢社会を迎えた福岡市は、次なるステージ「人生100年時代」に向けて、新たな発想や手法を取り入れてまちづくりを進めていくことを表明された。
超高齢社会におけるエスカレーターの安全利用をどのように推進され、安心して暮らせる福岡の未来をつくっていくのか高島市長のご所見を伺う。
【市長答弁】
高齢者が安心して外出できる環境を整えることは,健康寿命を延伸していく観点からも重要と考えている。
地下鉄エスカレーターの安全利用の推進は,取り組みを進める必要があると認識しており交通局で実施している啓発等も,関係する団体や事業者に拡大していくことが大切と考えている。
福岡市では,人生100年時代の到来を見据え,個人にとっても社会にとっても幸せでありうる持続可能な健寿社会を実現していくため,“産学官民”オール福岡で取り組むプロジェクト「福岡100」を打ち出したところである。
この「福岡100」の推進により,健康・医療・介護サービスの充実だけでなく住まいや地域づくりなども含めた広い意味での超高齢社会に即したまちづくりに取り組む。