違法な民泊施設の対策について

福岡市のイベント民泊の具体的な制度内容、また実施した結果は?

イベント民泊とは,「年数回程度(1 回当たり2~3 日程度)のイベント開催時であって,宿泊施設の不足が見込まれることにより,開催地の自治体の要請等により自宅を提供するような公共性の高いもの」について、「旅館業」に該当しないものとして取り扱い,自宅提供者において,旅館業法に基づく営業許可なく,宿泊サービスを提供することを可能とするもの。福岡市では,平成27年7月の厚生労働省の通知を踏まえ,平成27年12月に,社会実験的取組みとして期間限定で実施。訪日外国人7名を含む9名の方々が実際に宿泊された。特にトラブル等は発生しておらず,宿泊された方々からは,ホテル等では味わえない地域の暮らしを体験できたなど概ね高い評価が得られた。

いわゆる民泊施設に対し、どのような苦情や問い合わせが寄せられていたのか。平成27度以降の苦情件数と主な内容は?

平成27年度:14件(外国人の出入りが不安,騒音等)

平成28年度:96件(外国人の出入りが不安,騒音等)

平成29年度(7月末):57件(外国人の出入りが不安,騒音等)

旅館業法に基づき福岡市から事業許可を受けた民泊施設は現在総数で何件あるのか?

まず、民泊に関する法的な定義はない。新基準による許可施設数(平成29年7月末):40件(新基準:市旅館業法施行条例改正により規定した小規模な施設向けの施設基準)簡易宿所の施設数(平成29年7月末):117件

代表的な米国の民泊仲介サイトに掲載されている福岡市内のいわゆる民泊施設は何件掲載されているのか。総数と区の内訳は?

民泊仲介サイトに掲載されている民泊施設の所在地は宿泊予約者にしかわからないシステムであり,市として実態の把握は困難である。宿泊施設情報サイトによる情報(平成29年9月1日時点):1,960件(東93,博多985,中央731,南46,城南35,早良35,西35)

掲載されている1960件のうち許可がある40件を引いた1,920件の施設が、許可を得ていない違法な民泊施設の可能性があるということなのか?

正確には答えられないが,その可能性はある。

民泊施設が違法である無許可営業だと判明した場合、本市は所有者または営業事業者に対しどのような対応をしているのか。罰則は?

本市の対応

・ 指導を行う(営業中止)。

・ 悪質な事例は,警察と連携して指導する。

旅館業法の罰則

・ 法第10条第1号(6月以下の懲役又は3万円以下の罰金)

市は現在どのようにして実態を調査し違法施設を発見しているのか?

市民等からの苦情を基に調査を行っている。

苦情者,営業者,マンションの管理組合等への聴取等により行っている。

違法施設の調査を行う職員は何名で対応しているのか?また過去3年間に発見した旅館業法違反件数は?

区衛生課環境係の係長及び係員:17名(東2,博多4,中央3,南2.城南2,早良2,西2)

旅館業法違反(無許可営業)の件数

・ 平成27年度:12件

・ 平成28年度:58件

・ 平成29年度(7月末):14件

京都市では厚労省に対して旅館業法等の規制強化を要望するなど、自治体として明確な意思表示を示し、アクションを起こしています。また今年度から各区役所の衛生部門を医療衛生センターに集約し、民泊対策に特化した専門チームを設置するなど、違法な「民泊施設」を許さない取り組みを強力に進めておられます。さらに本年6月1日からは、事業者等が特定できていない民泊施設について、プロポーザル方式で公募し選定した事業者に調査業務を委託し、「仲介サイト掲載情報の分析」・「現地調査」などを行ったのちに民泊施設を特定し、市がその調査報告を受け動くという取り組みが始まったと聞いています。

福岡市としても違反施設の是正のために民間事業者の力を借りてでも体制を強化すべきだと思うが?

京都市で指摘のような取り組みが始まったと聞いているが、6月から始まったばかりであり委託調査の効果検証がこれからの段階。

福岡市では苦情通報窓口の周知を行い市民の協力を要請し積極的な是正に取り組む。京都市の取組の有効性の検証も注視し効果的な是正方法の検討する。

そのような中6月9日に民泊新法が国会で可決成立した。今回の国の法律(住宅宿泊事業法)とはどのようなものか。施行予定日を含めこれまでの旅館業法との違いは?

【住宅宿泊事業法】

1 背景

(1) 我が国における観光旅客の宿泊をめぐる状況の変化

(大都市部での宿泊需給の逼迫,訪日外国人観光客のニーズの多様化)

(2) 民泊サービスの普及及びトラブルの発生

2 目的

(1) 民泊サービスを営むもの等の業務の適正な運営の確保

(2) 国内外からの観光旅客の宿泊に対する需要への的確な対応

3 概要

(1) 住宅宿泊事業者に係る制度の創設

・ 住宅宿泊事業を営むもの

・ 都道府県知事への届出

(2) 住宅宿泊仲介業者に係る制度の創設

・ 宿泊者と住宅宿泊事業者との間の宿泊契約の締結の仲介をするもの

・ 観光庁長官の登録

(3) 住宅宿泊管理業者に係る制度の創設

・ 家主不在型の住宅宿泊事業に係る住宅の管理を受託するもの

・ 国土交通大臣の登録

○ 施行予定日:未定(公布の日(平成29年6月16日)から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日)

○ 旅館業法との主な違い

1 住居専用地域でも実施できる。

2 住宅宿泊事業の年間提供日数に上限がある(180日)。

民泊新法施行にあたり本市の課題は何か?

法の趣旨に沿った良質な施設の育成することが重要であると考えている。違法な施設の改善に取り組むために市民・事業者への新制度の周知徹底を図ること。

民泊新法の成立・施行によって既存の旅館業法と合わせ、違法な民泊施設の把握や調査が可能になるのか?

○ 住宅宿泊事業に関わる三者:関係行政機関への届出等を義務付け

(住宅宿泊事業者,住宅宿泊仲介業者及び住宅宿泊管理業者)

○ これらのリストを基に,違法施設(旅館業法無許可・住宅宿泊事業法無届)を把握し,指導を行う。

ここまで違法な民泊施設の対策について伺って参りましたが、一方で民泊は、ホテル不足を解消するだけでなく、空き家の活用に困るオーナー等にとって、資産の有効活用の手段であるとともに、インバウンド観光客と地域を結び活性化にもつながるなどいい面もあると思う。最後に住民や利用者の安心安全のために、違法な民泊施設に対してどのような姿勢で取り組み改善していかれるのか、市長のご所見を伺う

【市長答弁】

○ 民泊本来、有意義なものと考えている。

○ 民泊が成功するには,市民の信頼が必須

○ 法の趣旨を市民や事業者に周知

○ 法の趣旨に沿った良質な民泊の育成

○ 違法な施設への指導

○ 安心して利用できる民泊の普及に努める