令和元年9月議会での一般質問に登壇しました。

以下、質疑の内容を記載します。

質問その①

【放火対策について】

この質問にあたり、本年7月に京都市伏見区で発生した「京都アニメーション」の放火事件で被害にあわれ死傷した方々のご冥福・早期回復を祈るとともに、ご家族はじめ関係者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。建物は全焼、人的被害は死者35名を含む69名にも及ぶこの放火事件は、平成以降最大規模の死傷者を出した火災となる大事件でした。建物内にいた社員や関係者は逃げ場を失い、どんなに熱く苦しい状況で助けを求め続けていたのか、考えるだけでも心が痛みます。

人の命をないがしろにする放火など断じてあってはならない!そんな思いから本市の放火に対する取り組みを伺って参ります。

Q 過去5年間において、本市の年間火災件数の推移。また、その火災が直接の原因での死者数は?

福岡市における過去5年間の火災件数、平成26年が307件、平成27年が281件、平成28年が283件、平成29年が321件、平成30年が309件。

死者数は、平成26年が5人,平成27年が9人,平成28年が6人,平成29年が11人,平成30年が10人。

Q 本市における火災原因の上位5位について、過去5年間平均件数およびその割合は?

1位は,「放火及び放火の疑い」で64件,割合21.3%,

2位は,同数で「たばこ」及び「こんろ」でいずれも51件,割合17.0%,

4位は,電気コードなど「配線器具」からの出火で13件,割合4.3%,

5位は,「ストーブ」で12件,割合3.9%となっている。

Q 「放火および放火の疑い」が火災原因の1位であるとのことですが過去5年間の「放火及び放火の疑い」件数の推移と、また放火火災における死者数は?

福岡市における過去5年間の放火(放火疑いを含む。)件数は,平成26年が68件,平成27年が66件、平成28年が62件、平成29年が47件、平成30年が76件。

放火火災における死者数は、平成26年が2人、平成27年が3人、平成28年が2人平成29年が3人、平成30年が2人。

なお,この放火火災における死者は,すべて「放火自殺」によるもの。

Q 火災件数を減らすためには放火を減らすことが明確になったわけですが、放火が発生しやすい「季節」、「時間帯」、「行政区」「現場の特徴」は?

福岡市における過去5年間の統計を見てみますと放火が発生しやすい季節や行政区に特段の差はございませんが時間帯としましては,夜遅くから未明の時間帯に多く発生しており,現場の特徴としましては,人目につきにくい暗い場所等で発生しているのが特徴。 

Q 近年、本市では同一エリアで連続不審火および放火が発生する事案がある。いわゆる「連続放火事案」とはどのような定義なのか?

福岡市においては,「短時間又は短期間に,同じ地域(同一町内,隣接する町内等)において発生するなど,なんらかの関連性があると解される複数件の放火(疑いを含む。)のことであり,かつ,地域の住民等が不安を感じ,特別の対策が必要であると当該地域を管轄する消防署長が判断するもの。」を連続放火として定義している。

Q 本市における平成30年中の連続放火事案の発生状況は?

平成30年中に発生した連続放火と判断されるものは,7つの地域で合わせて22件発生。

Q 放火を防ぐために消防局はどのような対策を行っているのか?

従前から出前講座等のあらゆる機会を捉え,市民に対し,放火対策について啓発を行っておりますが,放火が発生した際には,消防車両での巡回警戒や地域住民による防火パトロールの呼びかけなど,様々な対策を講じております。

また,放火行為を抑制するため,放火監視機器の設置や,福岡県警察と連携し作成した放火予防ステッカーの配布などの取組を実施しております。なお,今年度から,市内全ての151校区・地区の自治協議会の定例会に出席し,約2,300の自治会長・町内会長に直接,放火予防の啓発を行っており,放火されにくい環境づくりの重要性について説明しております。

Q 放火を防ぐためにも市民が心得るべきことは何か?

家の周りには燃えやすいものを置かないことや,夜間は建物の周囲や駐車場などで照明を点灯するなど,地域ぐるみで放火されにくい環境をつくることが重要です。

Q 不審火を発見した時は、どのような行動をとればよいのか?

「初期消火」・「通報」・「避難誘導」の行動をとっていただくことが重要です。

Q 火災そのものが延焼しないためにも初期消火が重要であることがわかりました。初期消火をするうえで、市民に一番身近な機材は消火器ですが過去3年間の初期消火において消火器が使用されている割合は?

福岡市における過去3年間の初期消火に消火器を使用した件数は,平成28年が65件で全体の23.0%,平成29年が70件で全体の21.8%,平成30年が68件で全体の22.0%となっております。

本年1月、不審火を発見し、消火器を使用し初期消火を行った市民から、私に声が寄せられた。ある会社が設置・管理している消火器を、この方が他の建物での火災を発見したため、近くにあったその消火器を使用し消火。

消火器による素早い初期消火が重要と考えての行動でしたが、そもそも消火器は所有者以外の者が使っても良かったのか。また、使ってしまった消火器は、消火剤を詰め替えるか新規購入するなど元に戻す必要がありますが、その費用は、消火器の所有者、または使用した者が負担しなければならないのでしょうかという問い合わせ。そこでうかがいます

Q 善意による消火活動に使用した消火器の更新については、他都市では補助する制度がありますが福岡市では補助制度がありませんでした。現状はどうなっているのか。他の政令市の取り組み状況と共に伺う。

議員からのご指摘を受け,消防局において,今年度から消火器の所有者以外の方が,善意により他の建物の消火器を使用し初期消火を行った場合は,その消火器について消火薬剤の充填等の補償を行っております。

ただし,火災発生に直接関係のある方が消火器を使用した場合や,火災の火元である建物に設置された消火器を使用した場合などについては,当事者責任の範疇であることから,補償の対象外としております。なお,政令指定都市におきましては,7都市において,消火器の補償を実施しています。

Q 放火や不審火を発見し消火するなど、初期消火に協力した市民などに対し、消防局はどのようなことを行っているか?

先ほどご答弁いたしましたが,善意による初期消火で消火器を使用した場合は,消火器の消火薬剤の充填等について

消防局で補償することとしております。また,初期消火など消防活動に従事した市民が,そのために死亡や負傷した場合への措置として,消防法(第36条の3)及び条例(福岡市消防団員等公務災害補償条例)の規定に基づき,損害補償が受けられることとなっております。なお,善意により消火活動等に従事し,功労が認められる市民に対しては,「感謝状」を授与するとともに,本人の了承を得た上で,報道機関にも情報提供しております。

放火がなくなり、火災が少ない安心して暮らせる福岡市を作るためにも、消防や行政と共に事業所や地域住民の協力も大変重要であると感じます。

Q今後どのような放火対策を行い、火災そのものの件数を減らしていくのか?消防行政を統括される副市長の決意を伺いこの質問を終わります。

放火による火災は様々な取り組みにも関わらず残念ながら火災原因の常に上位を占めております。放火は悪質な犯罪行為であり、また一旦発生すると地域住民に大きな不安を与えるもので、断じて許されるものではないと認識いたしております。その防止のためには、消防、警察、区役所などの行政機関、また地域住民や事業所が一体となった対策が不可欠であります。今後とも引き続きあらゆる機会をとらえて市民に放火されにくい環境作りの啓発を推進するとともに、消防局をはじめとする関係機関が連携・協力して、放火防止対策に取り組んで参ります。(中村副市長答弁)