国連が2015年に「持続可能な開発目標(SDGs)を採択してから5年。国内外においてSDGs達成に向けた取り組みがいよいよ本格化しています。

先日の補足質疑において自民党福岡市議団の議員からもSDGsに触れられ、「市民に対しSDGsの周知が大事」と発言されておりました。私も同意見です。

まず伺いますが、自治体は市民や企業などの多様な主体に対し、SDGsをわかりやすく内容を周知する役割があると思いますがご所見を伺います。

【総務企画局長答弁】

SDGsを達成するためには,市民や企業,NPOなど多様な主体の参画が重要であると認識しており,自治体にはSDGsの理念の周知や,達成に向けた取組みを促す啓発などを実施する役割があるものと考えている。

 

本日はその観点から、SDGsの周知に絞って伺いたいと思います。

近頃ではSDGsのカラフルなロゴ、SDGsバッチをつけている人も街中でも見かけるようになりました。しかし「SDGsを何のことだか全く知らない」「聞いたことはあるが具体的にどういうことか知らない。」ということも多く耳にします。

そこで伺いますが

市民向けにSDGsを周知するためのこれまでの本市の取り組みを伺います。また市民の認知度・理解度を調査したデータがあればお示しください。

【総務企画局長答弁】

SDGsの周知については,令和元年度は,アジア太平洋都市サミットのプレイベントや環境フェスティバルなど,様々なイベントや印刷物などを活用しながら取り組んだところである。

また,SDGsの認知度の調査については,環境フェスティバルの来場者アンケートで実施しており,令和元年度の結果は,「以前から知っている」が24%,「今回初めて知った」が43%,「知らない」が33%となっている。

市民にどのくらい認知されているのかを知ることは今後も必要なことと思いますので、機会をとらえて調査を継続されることを要望しておきます。

先日の日本経済新聞に、自治体や企業のSDGsの認知度を掲載した記事がありましたのでご紹介します。

経団連会員企業(つまり大企業)のSDGs認知度は約90%自治体のSDGsの認知度は約45%。一方中小企業は認知度が低く認知度は約15%とのことでした。

その中小企業に詳しくアンケートを取ったところ

  • SDGsについて既に対応・アクションを行っている。が1.2%
  • SDGsについて対応・アクションを検討している。が0.8%
  • SDGsの内容について知っているが特に対応は検討していない。が5.8%
  • SDGsという言葉を聞いたことはあるが内容は詳しく知らない。が8.0%
  • SDGsについて全く知らない。が84.2%という結果だったそうです。

記事によると、SDGsに先行し取り組んでいる中小企業はビジネス間競争を優位に進めている事例を紹介。SDGsは世界共通語であり、積極的に取り組む企業には海外からの商談が舞い込むなどビジネスチャンスにつながっているというのです。これからの中小企業を応援するためにも、もっと事業者にSDGsを理解してもらうことが重要だと日経新聞はまとめています。

これまで本市は、市内の中小企業事業者に対しSDGsによる事業展開など、どのような周知を行ってきたのか伺います。

【総務企画局長答弁】

SDGsの達成には市民や企業,NPOなど多様な主体の参画が重要であるという認識のもと,その周知にあたっては,特に中小企業に限定せず,幅広く市民や企業を対象としたイベントの開催等により取り組んできたところである。

一方で,福岡市の事業所の約99%を中小企業が占めているという状況を踏まえると,議員ご指摘のとおり,福岡市におけるSDGsの達成において,中小企業の認知度を高めることは大変重要である。

そのため,令和2年度は,各局が行う企業向けのセミナー等においてSDGsに関する説明を積極的に行うとともに,企業に配布する印刷物にもSDGsに関する内容を盛り込むなど,様々な機会を通して,中小企業に対するさらなる周知に取り組んでいく。

さて、同じ福岡県内でも北九州市はSDGs未来都市に選定されるなど、全国でもトップクラスのSDGs推進都市といわれています。

かつては公害のまち→環境問題に取り組む都市→SDGsをブランド化した都市として変貌を遂げました。

北九州市はSDGsを推進しゆくため、市の企画調整局(本市で言う総務企画局)が主体となって、学識者や経済団体、市民の代表からなる「北九州市SDGs協議会」。及び、市民や企業、NPOなどの団体、学校が会員となり活動を促進する「北九州SDGsクラブ」を軸とする体制を構築しています。

この、北九州SDGsクラブでは、市民や企業向けにSDGsについて、次のように呼びかけています。私には非常にわかりやすい具体的なアプローチだと映りましたので紹介します。

「市民」として私たちが出来ることは、「新たに特別なことをする必要はありません」と明言したうえで、ちょっとした気づきや行動が大切です。例えば、健康増進のためにウオーキング通勤をするとか、SDGsに取り組む企業の商品を積極的に購入するなどの行動をお願いします。と、

また、「NPOや自治会等の団体」に対しては、「新たに活動するのではなく、ちょっとした工夫で」と明言したうえで、SDGsを活用して団体の取り組みをアピールすること。例えば、今行っている団体の行動がSDGsにつながるかを考えて欲しい。そしてその活動が17のゴールのうちどのゴールに関連するか検討しホームページ等でゴールのアイコンを掲載しPRすること。このようにPRしていただくことにより他団体とのコラボレーションが生まれてくる。また新たな団体に活動に参画してくれる人を獲得できるチャンスが拡大します。

最後に「企業・事業者」に対して、「企業」の皆様には、ぜひ自社の企業活動全般をSDGsの視点で見直し、SDGsに資する取り組みを大いにPRしてください。PRすることにより企業ブランドの向上につながり売上の増加につながる。生産や調達方法を見直すことで経営課題の抽出が期待できる。国内外の投資家の評価が高まる。SDGsの取り組みを評価するのは「市場」であり、取り組みを進めることで販路拡大や顧客確保による、企業活動の拡大などメリットが大いに期待できます。

と、各分野に対しわかりやすく説明し、SDGsに関する気付きを考えることを重視しています。私は、このように、具体的な行動をわかりやすく知らせることが重要だと思います。

本市は市民に対し、SDGsの理念や具体的な行動をどのように周知していくつもりなのか新年度の取り組みをお伺いします。

【総務企画局長答弁】

令和2年度の取組みについては,これまでのアジア太平洋都市サミットのプレイベントや環境フェスティバルなどに加え,規模の大小に関わらず,様々なイベントを通した普及・啓発の充実を図る。

また,新たな取組みとして,市政だよりや各種パンフレットなどの印刷物を活用した広報の実施,公民館や地下鉄の駅など公共施設への啓発ポスターの掲示,市役所1階ロビーに設置予定の大画面ディスプレイにおける啓発動画の放映,SDGsに関する出前講座の創設など,様々な媒体や手法を活用するとともに,その内容が市民にわかりやすいものとなるよう工夫しながら,SDGsのさらなる普及・啓発に取り組んでいく。

今後、目に見える形でのSDGsの普及啓発に期待を致します。

SDGsに関する自治体の役割は、市民や企業などに対してわかりやすく周知していくことと共に、自治体施策の中にSDGsの理念をしっかりと盛り込んでいくことだと思います。

先日の、新年度市政運営方針および議案説明の折、髙島市長は「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を踏まえ、未来を担う子どもたちをはじめ、高齢者や障がい者などあらゆる人がその能力を存分に発揮できるような持続可能なまちづくりを進めていく」との力強い表明がありました。

福岡市総合計画に基づく市政運営の中にも、SDGsの理念が盛りこまれ政策が進められていることは理解しているつもりですが、私は、まだまだ十分では無いような気がしてなりません。そのことは次の機会に改めて質疑をさせていだだこうと思います。

 

政府においても、SDGsを地方創生の原動力と位置づけ、残りの10年を「行動の10年」として走りはじめました。今こそ私たち一人一人がSDGsという理念を理解し、様々な課題を乗り越え、10年後のゴールに向かって行動を開始できるか今年の重要な課題です。

福岡市としてSDGsの理念をどのように市民に周知し、どのような政治姿勢で挑んでいかれるのか、市長のご決意を伺いこの質問を終わります。

【髙島宗一郎市長答弁】

福岡市では,多くの市民の皆様とともに策定した総合計画において,都市の成長と生活の質の向上の好循環を創り出すことを基本戦略として掲げ,経済的な成長と安全,安心で質の高い暮らしのバランスが取れたコンパクトで持続可能な都市づくりに取り組んでいる。これは,SDGsの理念と方向性を一にするものであり,総合計画の着実な推進により,SDGsの達成に向けて取り組んでいるところ。

加えて,国連ハビタット福岡本部との連携や,アジア太平洋都市サミットなどを通した都市間連携により,上下水道分野や環境分野における福岡市の強みを活かしながら,アジア諸都市におけるSDGsの達成にも貢献していきたいと考えている。

議員ご指摘のとおり,市民や企業,NPOなど,多様な主体に参画いただくには,自治体による周知が大変重要であると認識しており,今後とも様々な機会を捉え,SDGsの普及・啓発に積極的に取り組み,「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を踏まえ,未来を担う子どもたちをはじめ,高齢者や障がい者などあらゆる人々がその能力を存分に発揮できるような持続可能なまちづくりを進めていく。