令和3年 第6回定例会 古川 清文 一般質問 (令和3年12月17日)

 

○17番(古川清文)登壇 私は公明党福岡市議団を代表し、デジタルデバイド、情報格差対策について、養護者による高齢者虐待について、義務教育でありながら住むところや親の所得によって負担の差が生じる課題について、以上3点質問いたします。

初めに、デジタルデバイド対策について伺います。

行政手続のオンライン化や社会全体のデジタル化が進められる中、デジタル技術を使いこなせる方々とそうでない方々のデジタルデバイド、情報格差の解消が重要な政策課題となっています。例えば、内閣府の世論調査によれば、70歳以上の高齢者の約6割がスマートフォンなどの情報通信機器を利用していないと回答しており、社会のデジタル化が急速に進む中で、各地域の実情を踏まえつつ、助けを必要とする方々に十分な支援が行き渡るようにすることが急務であると考えられます。総務省の令和3年度の事業実施計画における方針では、デジタル活用に不安のある高齢者等の解消に向けて、デジタル活用支援推進事業とし、全国において主に高齢者のデジタル活用を支援する講習会等を開始する、また、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化の基本方針を踏まえ、各地域の実情やニーズを適時適切に把握しつつ、支援体制の充実を図ることが記されています。さらに、総務省の事業において、令和4年度以降も高齢者が身近な場所で参加できるよう、既存の携帯ショップ、また、携帯ショップがない市町村や携帯ショップがあってもスペースが狭くて講習会ができない市町村では、講師派遣をすることによって公民館等での講習会等を行う手法を検討するとされています。

そこで伺いますが、本市におけるデジタル活用に不安がある高齢者等への支援はこれまでどのようなものがあるのか、内容と予算規模等詳細を伺います。また、これらの事業費は全額国庫支出になっているのか、財源の詳細を伺います。

以上で1問目を終え、以降は発言者席にて行います。

 

○副議長(山口剛司) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) デジタル活用に不安がある高齢者等への支援に関する市民局の取組につきましては、公民館におきまして、平成29年度から、高齢者等を対象にスマートフォンの使い方等を学べる講座として公民館スマホ塾を開催しており、本事業は事業者の協力を得て無償で講師の派遣を受けているため、特段の予算措置は行っておりません。また、令和3年11月19日から4年3月までの間、Wi-Fiへの接続方法や福岡市のオンライン申請手続などを学べる公民館Wi-Fi活用講座を開催しており、本事業における令和3年度の予算額は800万円で、財源は全額市費となっております。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。

○総務企画局長(龍 靖則) 総務企画局におきましては、マイナンバーカードの申請方法が分からない方や区役所まで行くことが困難な方などを対象に、公民館やショッピングセンターなどの市民に身近な場所へ職員等が出向き、申請手続の補助や受付等を行う出張サポートを令和2年8月より実施しております。令和3年度予算額は3億176万円で、財源は全額国費となっております。また、公民館などの市民の身近な場所にビデオ通話が可能な機器を設置することで、市民が区役所等に出かけることなく遠隔での手続や相談を可能とするリモート窓口の実証実験を12月15日から開始しております。令和3年度の予算額は1,000万円で、財源は全額市費となっております。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) お示しいただいたデジタル活用を支援する事業の参加者数、活用者数等の実績をお伺いいたします。

 

○副議長(山口剛司) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 公民館スマホ塾の開催実績につきましては、令和2年度は157回の開催、約1,800人の参加であり、公民館Wi-Fi活用講座は、3年12月10日現在で14回の開催、約130人の参加となっております。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。

○総務企画局長(龍 靖則) マイナンバーカード出張サポートの実績につきましては、令和2年度は411回開催し、1万7,308人、令和3年度は11月末時点で428回開催し、1万1,284人の方に御利用いただいております。また、リモート窓口につきましては、12月15日に北崎公民館において1回目の体験会を実施し、地域にお住まいの方12人に御参加いただいております。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) リモート窓口については、おととい始まったばかりということで、今後に期待をしたいというふうに思っております。

それでは、それらの事業の参加者等の感想があればお示しください。さらに、今後の課題について認識しておられればお示しください。

 

○副議長(山口剛司) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 公民館スマホ塾や公民館Wi-Fi活用講座につきましては、参加者の皆様から、大変分かりやすく早く体験すればよかった、まだまだ知らないことがありそうなので、またこのような講座があれば受けたい等の声をいただくなど、好評を得ております。一方で、一度の受講で全て理解することは難しいとの声もいただいており、今後も継続的に講座を開催する必要があると認識しております。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。

○総務企画局長(龍 靖則) マイナンバーカード出張サポートにつきましては、利用者から、区役所まで行くことはできないが身近な公民館であったため利用したや、どうやって申請してよいか分からなかったので助かったなどの声をいただくなど、好評を得ているところでございます。次に、課題でございますが、より多様な機会に本事業によるサポートが提供できるよう、さらに取組を強化していく必要があると考えております。また、リモート窓口につきましては、12月15日の参加者から、簡単に利用できたや、こういう窓口ができれば利用したいなどの意見をいただいており、引き続き取組を進めてまいります。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) 御説明いただいたように、本市のデジタル支援の事業参加者や利用者からは、おおむね好評との感想や御意見があるそうであります。サポートを受けながらデジタルを活用した作業を経験してみる。経験することによって知識となる。さらに詳しく知りたいと思う。ICTやデジタル機器の取扱いは、たとえ若い人であっても最初から知識がある人は皆無でしょう。今の若い人たちはユーチューブなどの投稿動画などによって操作方法を学んで知識を高めておられます。高齢者やデジタル操作が苦手な人は、このような対面でサポートを受けながら知識を得ることができることは大変重要な意義があると思っております。

ところで、総務省の資料の中にデジタル活用支援推進事業という事業について記されています。国によって行われているデジタル活用支援推進事業とはどういう制度なのか、お伺いいたします。

 

○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。

○総務企画局長(龍 靖則) 国のデジタル活用支援推進事業につきましては、高齢者などのデジタル活用に対する不安の解消に向けて、国が指定する研修を受講したデジタル活用支援員を講師として、携帯電話販売店などの身近な場所においてスマートフォンの取扱いやサービスの利用方法等に関する講習会が実施されているところでございます。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) 総務省の事業実施計画には、携帯キャリアがデジタル活用支援員を講師として主に携帯ショップで講習会を実施する類型A、また、地元ICT企業やシルバー人材センター等が地方公共団体と連携して公民館で講習会を行う類型Bが想定されております。

本市ではこのようなデジタル活用支援推進事業の取組があるのかどうか、伺います。

 

○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。

○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市におきましては、全国で事業を展開する携帯電話事業者4社がデジタル活用支援推進事業の実施団体として、市内の携帯電話販売店において随時講習会を実施しているところでございます。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) 本市でも携帯電話事業者が販売店で随時講習会を実施しているとの答弁でありました。私も経験があるのですが、携帯ショップでお得になるなどの提案を受けて、断り切れずに契約したものの、使いこなせず結果的に割高になったりとか、違約金を払うことになったりと、過去の苦い思い出がある人もいます。いろんな説明は大変ありがたいのですが、どうしても営業や顧客獲得の意図が感じられてしまうかもしれません。行政のデジタル化やスマートフォンを活用するための疑問など、高齢者やデジタルが苦手な方々が気軽に相談できるところはないものかと考えております。

そこで提案ですが、高齢者にとって身近にある公民館は親しみのある拠点の一つであります。公民館Wi-Fiの環境も整いましたので、さらなる公民館の利用増も考えてみました。現在も公民館スマホ塾やWi-Fi講座などを展開してくださっている公民館ですが、例えば、公民館職員向けに講習を行うなどして、スマートフォンなど簡単な操作だったら、公民館に行けばいつでも公民館職員に教えてもらうことが可能となるような取組を実施してはいかがでしょうか、御所見を伺います。

 

○副議長(山口剛司) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 公民館につきましては、地域のデジタル化に対応できるよう、公民館職員を対象にウェブ会議ツールに関する講座等を実施するとともに、全公民館職員を対象とした公民館フォーラムをウェブ会議ツールにて開催しております。また、既に一部の公民館においては、時間を定め、パソコンやスマートフォンの操作に関する相談を受ける機会を設ける取組を始めております。今後とも、公民館において地域のデジタル化支援に継続的に取り組んでいくため、体制等を含め、検討を行ってまいります。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) もう一つ提案と思い、私はこの質問に当たり、東京都渋谷区で実施されているシブカツという取組を調査してみました。渋谷生涯活躍ネットワーク・シブカツ、通称シブカツですが、プレシニア世代、またアクティブシニア世代の方がいつまでも楽しく元気に活躍し続けられるように、おのおのが持つ経験や能力を生かすことのできる機会や学びの場などを提供する施設です。また、渋谷区が実施している様々な講座やイベント、地域で活動している団体情報等を発信、さらに、区の事業だけでなく、NPOなどの民間による活動や地域で行われている自主的な活動の情報を一元化し、情報提供をされています。

ここでの取組の一つにデジタル活用支援員を育成する事業があります。高齢者のデジタルデバイド、いわゆるデジタル格差の解消を目指し、地域の高齢者のデジタル機器操作をサポートするため、区民等の中からスマホ活用のリーダー的存在であるデジタル活用支援員を育成する事業なのであります。デジタル活用支援員は、区が実施する育成研修、1対1での高齢者のサポートを行うための研修を受講し、認定試験に合格することでデジタル支援員になることができます。認定試験に合格した方の中から、さらにステップアップを目指す方には、スマホ講師育成研修、同時に複数の高齢者へサポートを行うための研修が用意されています。デジタル活用支援員になると、区主催の高齢者向けスマホ相談事業の相談員やスマホ講座の講師等として活躍してもらうことが想定されているのであります。具体的には、スマートフォンの普及促進を目的に、渋谷区が今年9月から65歳以上のスマートフォン未保有者の区民へ2年間無償で貸し出す事業が開始され、その取扱いの講習会等でのサポート活動を時給1,100円程度で担っていただくことが想定されているそうであります。

この渋谷区の取組のように、デジタルデバイドの解消を目指した市の施策と連動させるため、講習を受けた高齢者をデジタル活用支援員として育成するなど、サポートする側として参画していける仕組みをつくっていくことは有効であると思われます。支援員として報酬を発生させることによって高齢者の生きがいづくりにもつながります。NPOや社会福祉協議会、シルバー人材センター等と連携して、デジタル化を縁に、新しい形の高齢者生きがいづくりにつなげてみてはいかがでしょうか、御所見を伺います。

 

○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。

○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市におきましては、先ほど市民局長が答弁いたしましたとおり、現在、公民館スマホ塾や公民館Wi-Fi講座を実施しており、また、国の制度を活用した携帯電話事業者による講習会が実施されているところでございます。議員の御提案につきましては、まずは国のデジタル活用支援推進事業の活用に向けて、NPOなどの団体へ情報提供を行っていきたいと考えております。デジタル活用に不安がある高齢者等への支援につきましては大変重要であると認識しており、今後とも、国や他都市の動向等を注視しつつ、関係局とも連携し、適切な対応を検討してまいります。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) 誰一人取り残さず、デジタル社会の恩恵を受けるためには、国や自治体の取組だけではカバーできないことも危惧されます。家族や日頃一緒にいる身近な方などからのデジタル支援、また、民間レベルでのサポートや支援も必要です。

この質問の最後に、デジタルデバイド、情報格差解消に向けた髙島市長の決意を伺います。

 

○副議長(山口剛司) 髙島市長。

○市長(髙島宗一郎) 市民に最も近い基礎自治体として、行政手続のオンライン化などの取組を進めていくに当たりましては、子どもから高齢者まで誰もがデジタル技術を活用できる環境づくりを進めるとともに、デジタルに不慣れで対応が困難な高齢者などにも十分配慮しながら、利便性の向上を図っていくことが重要と考えています。

国においては、デジタル改革、規制改革、行政改革に係る横断的な課題を一体的に検討し、実行する会議としてデジタル臨時行政調査会が設置され、私もその構成員として、データのポータビリティの在り方、また、プッシュ型行政の実現について提言をさせていただいております。また、デジタル田園都市国家構想実現会議において、デジタル化のメリットから誰一人取り残さない社会をどのように実現していくべきかについても、議論が進められていくものと考えております。

福岡市におきましては、こうした国の動向なども踏まえながら、今後とも、DXの取組を積極的に推進し、業務の効率化により生じる人的資源を福祉など人のぬくもりが必要な分野に配置するなど、これからの時代にふさわしい行政サービスの提供を進め、デジタルデバイドの解消に取り組んでいきます。以上です。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) 次に、養護者による高齢者虐待について伺います。

今年10月初旬のある朝、地域包括支援センターが業務を開始早々、高齢の母親が着のみ着のまま助けてほしいと駆け込んできました。息子さんからの身体的虐待から逃げてきた様子。地域包括支援センターの職員は話を聞き、区の保健福祉センターに報告するとともに、居宅介護支援事業者に協力を求め、連携し、介護サービスの対応を開始。介護の必要性、また、母親の身を守るためにも、10月中旬、在宅介護からショートステイへ切り替え、一時的に親子を離して介護サービスを続けるようになりました。そのことを息子さんが知ると、最初は冷静だったのですが、次第にいらいらし出し、最後は母親を返せと、地域包括支援センターの担当者やケアマネジャーを恫喝し始めたそうであります。母親は恐怖のあまり、最初はSOSを求めてきたものの、息子が怒り出すと一転、息子を守る言動に変わりました。母親は最後には、虐待はされていないと言い出し、息子と一緒に自宅へ帰ろうとする始末。恐らく威圧的な息子からのさらなる虐待が怖いのか、証言を変えてしまったとのことでありました。このように、実の息子さんからの虐待の疑いがある状況の様子を、私は地域包括支援センターの職員、介護事業者、担当するケアマネジャーなどを交え、お話を伺いました。

まず、高齢者虐待とは、高齢者に対しどのような行為を指すのか、高齢者虐待防止法による定義と分類をお示しください。

 

○副議長(山口剛司) 舟越保健福祉局長。

○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者虐待防止法におきましては、65歳以上の高齢者に対して行う暴行などの身体的虐待、介護、世話の放棄、暴言を与えるなどの心理的虐待、わいせつな行為をするなどの性的虐待、財産を不当に処分するなどの経済的虐待を高齢者虐待と定義いたしております。また、虐待の分類につきましては、養護者による高齢者虐待と養介護施設従事者等による高齢者虐待がございます。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) 高齢者虐待は、養護者による高齢者虐待、また養介護施設従事者等による高齢者虐待に分類されるとのことでありました。

養介護施設従事者等による高齢者虐待は、事実が明るみになると報道等によって大々的に世に知られ、事業者や従事者が罰せられるなど、改善への対応も知ることが可能です。しかし、同居する家族など養護者からの虐待については表に出ないケースが多いことが懸念されます。

過去3年間の本市の養護者による高齢者虐待の通報等の件数、また本市の高齢者虐待案件認定数、そして本市の高齢者虐待による死亡件数を伺います。

 

○副議長(山口剛司) 舟越保健福祉局長。

○保健福祉局長(舟越伸一) 養護者による高齢者虐待の通報等の件数につきましては、疑いを含め、平成30年度が196件、令和元年度が218件、2年度が241件となっております。また、虐待の認定件数につきましては、平成30年度が99件、令和元年度が101件、2年度が85件となっております。なお、過去3年間の死亡事例はございません。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) 通報数は年々増えているのに、認定される件数が減っていることが私はちょっと気になりました。コロナ禍の令和2年は、高齢者に対する地域の関わりとしまして重要な役割を果たしてくださっている民生委員さんは、虐待の可能性が気になる高齢者がいたとしても、このコロナ禍で訪問活動ができない状況があり、把握できないケース、また、認定につながる業務ができていないことも懸念されます。

それでは、養護者による高齢者虐待はどのようにして発見されるのか、具体例をお示しください。また、虐待案件であることを認定する機関はどこなのか、お示しください。

 

○副議長(山口剛司) 舟越保健福祉局長。

○保健福祉局長(舟越伸一) 養護者による高齢者虐待につきましては、ケアマネジャーからの相談や通報によって見つかるものが全体の過半数を占めております。また、虐待案件の認定につきましては、国のマニュアルに沿って区保健福祉センターと地域包括支援センターから成るコアメンバー会議において決定をいたしております。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) 虐待の問題は、これまでもほかの議員さんからも一般質問などで様々な視点で議論されておるとおりですが、ここからは養護者による高齢者虐待に絞り、特にその課題に対応すべき責任者の対応について伺ってまいりたいと思います。

高齢者虐待を防止するための責務はどこが担うのか、お示しください。また、区保健福祉センターが高齢者虐待案件の通報を受理した後の体制はどうなっていくのか、流れをお示しください。

 

○副議長(山口剛司) 舟越保健福祉局長。

○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者虐待の防止につきましては、高齢者虐待防止法において国及び地方公共団体の責務として定められております。また、通報を受理した後の体制につきましては、情報収集と事実確認を行った上で、コアメンバー会議において虐待の有無や緊急性を判断し、当面の対応方針や支援の担当者等を決定しており、その方針に沿って、区や地域包括支援センター、介護事業所などが会議等により互いに情報を共有しながら、本人や家族への支援を行っていくこととしております。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) まずは情報収集と事実確認を行った上で、コアメンバー会議によって虐待有無の判断や担当者を決定するということでございました。また、虐待防止に関し、国及び地方公共団体の責務として定められているとの答弁でありました。

冒頭にお示ししているような高齢者虐待案件に直接関わっているのは、ケアマネジャーや居宅介護支援事業者、地域包括支援センター、区保健福祉センターですが、それぞれ主な役割について伺いたいと思います。

まず、養護者による虐待への対応について、居宅介護支援事業者、ケアマネジャーの役割は何か、お伺いいたします。

 

○副議長(山口剛司) 舟越保健福祉局長。

○保健福祉局長(舟越伸一) ケアマネジャーや居宅介護支援事業者につきましては、区や地域包括支援センターと連携をしながら、養護者の負担軽減や高齢者が安心して生活を送るための介護サービスの利用調整などの支援を行う役割を担っていただいております。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) じゃあ、同様に、地域包括支援センターの役割は何か、伺います。

 

○副議長(山口剛司) 舟越保健福祉局長。

○保健福祉局長(舟越伸一) 地域包括支援センターにつきましては、高齢者の権利擁護の視点に基づいて、ケアマネジャーや民生委員、地域住民などからの情報収集や虐待を受けている高齢者の見守り体制づくりなどの支援を行っております。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) さらに、区保健福祉センターの役割は何か、お伺いいたします。

 

○副議長(山口剛司) 舟越保健福祉局長。

○保健福祉局長(舟越伸一) 区保健福祉センターにつきましては、通報を受理した後の速やかな事実確認、高齢者や養護者に対する相談、指導、助言、また支援方針の検討、決定、支援計画の作成などを行いますとともに、虐待を受けた高齢者の迅速かつ適切な保護及び養護者に対する支援を実施いたしております。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) さて、私がこの虐待案件についてお話を伺うきっかけになったのは、うちのケアマネジャーが困っているという居宅介護支援事業者からの連絡でした。「区から高齢者虐待案件での事実確認を求められているのだが、虐待をしていると思われる息子さんは昼間仕事をしているし、自宅に電話しても出ない。携帯電話も知らない。面談するとしても夜にしか会えないと思うので、対応が難しい。地域包括支援センターの職員も連絡を取るすべもなく、何度も何度も手紙を入れていただいている」ということですが、「養護者による高齢者虐待対応マニュアルには区が事実確認を実施すると記されているので、区に同行での訪問調査をお願いしているけれども、拒否されて行ってくれない。その理由などを議員から聞いてもらえないか」ということでしたので、私のほうから区保健福祉センターのほうに問合せをしました。同行調査しない理由を述べられましたけれども、区の職員が訪問すると心理的負担を与えるからと、残念ながら私は納得いく理由ではありませんでした。

責務がある区が養護者から話を聞くことは大事ではないでしょうか。虐待を受けている可能性がある高齢者を含め、双方の意見を聞き、双方への支援策を提案、対応する上でも、区の担当者が同行して面談など現場に行くことができないのか、伺います。

 

○副議長(山口剛司) 舟越保健福祉局長。

○保健福祉局長(舟越伸一) 区の担当者は、事実の確認や、高齢者御本人や家族の意向確認などのため、状況に応じて現場での面談などを行うこととなっております。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) 現場からの切実な要請に対し、区は行かなかった。今回だけが対応いただけなかったのか、日頃からそのような対応なのか、疑問であります。ケアマネジャーは担当している介護者にケアプランを作成し、本来の業務をこなすことで報酬が発生する職業であります。本来の業務をさておき、協力し情報収集してくれている善意の対応にも信頼関係がなければ限度があることは申し上げたいと思います。

この質問に当たり、このケースとは全く別の事例ですが、親の介護に悩む息子さんからお話を伺うことができました。この御家庭では、アルツハイマー型認知症となった母親が施設から戻り、自宅で息子さん夫婦での介護が始まりましたが、施設から戻った母親は以前とは性格も変わってしまったようでありました。わがままにもなり、度々意見が衝突する。自分も大声になることもある。そして、そのたびに自宅に訪問してくれるヘルパーさんたちに、息子が私を殺そうとしているとうそをつくそうであります。このように養護者から話を伺うと、高齢者虐待は見る側の立場によって全く違う光景に映り、判断が難しいところです。アルツハイマー型認知症の詳しい症状など私には分かりませんが、高齢者虐待といっても一概に一方の報告だけを聞いて判断すると、正しい判断ができない可能性もあります。正しく支援するためにも必ず複数で対応することと対応マニュアルには記されています。保健福祉センターとしても養護者に会ってほしいという現場からの要請には応じるべきであったと私は今でも思います。また、高齢社会を迎えて地域包括支援センターの役割が非常に多く、対応も課題も多岐にわたっていると感じています。地域の高齢者やその家族が求めるセンターの役割が限界に達していないか、心配しています。度々そのようなことも多くの市民から伺っております。

区は地域包括支援センターにも頼り過ぎではないのか。高齢者虐待対応の責務は自治体にあることを考えるならば、専門分野の人材登用も含め、体制の強化、改善も必要であると思いますが、御所見を伺います。

 

○副議長(山口剛司) 舟越保健福祉局長。

○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者の虐待につきましては、区の保健福祉センターを中心に、地域で高齢者の権利擁護を担う地域包括支援センター、日常的に高齢者や家族に接しているケアマネジャーなどが緊密に連携をしながら、高齢者御本人への支援や家族の負担軽減に向けた支援を行っていくことが重要であると認識をいたしております。区保健福祉センターには、高齢者の権利擁護の担当として専任の係長職員を各区に1名配置をいたしておりますが、弁護士や司法書士などの専門職との連携をさらに強化し、研修等の充実により職員の対応能力の向上を図るなど、適切な体制の確保を図ってまいります。以上でございます。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) 弁護士や司法書士など専門職との連携をさらに強化し、研修等の充実によって職員の対応能力を向上させると、そして、適切な体制の確保を図っていくと答弁をいただきましたので、今後の福祉政策に期待をしたいというふうに思っております。

この質問の最後に、高齢者虐待をゼロにするための責務がある自治体の責任者としての所見、決意を荒瀬副市長に伺います。

 

○副議長(山口剛司) 荒瀬副市長。

○副市長(荒瀬泰子) 高齢者虐待への対応について、古川議員から御指摘をいただきました。高齢者虐待防止法は、介護保険法施行の5年後の平成17年に制定されたものでございます。高齢になりますと心身の能力が低下してまいりますが、最後まで高齢者の尊厳を保ち、権利を擁護していくことが重要であり、虐待の防止や高齢者の適切な保護、養護者の支援に向けて取り組むことが行政の責務とされたところでございます。

福岡市におきましては、区保健福祉センターを高齢者の権利擁護の窓口としており、虐待の通報等があった場合、必要に応じて関係者と連携、協議しながら、迅速かつ適切に対応を行ってまいります。また、今年10月には成年後見推進センターも開設したところであり、今後とも、高齢者の権利擁護についてしっかりと対応してまいります。以上です。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) 次に、義務教育でありながら住むところや親の所得によって負担の差が生じる課題について、今回は特に交通費と給食費について伺ってまいります。

現在、義務教育である市立の小学校、中学校に通っている児童生徒のうち、自宅から指定された学校までの通学距離が長いという理由から、公共交通機関を利用して通学することが認められている遠距離通学児童生徒がいます。その児童生徒たちが指定された学校に通学するために費用が発生しているのが交通費であります。

私は遠距離通学児童生徒に関する一般質問を、初当選後間もない2011年6月議会で行いました。遠距離通学が児童生徒に与える負担について、当時の教育長は、通学距離が長い場合は、短い場合に比べまして児童生徒がより体力を消耗すること、登下校に長い時間を要する場合は、ほかの生徒より朝早く自宅を出て、夕方の帰宅が遅くなるなど時間的な制約を受けることがあると、遠距離通学児童生徒には様々な負担があることを認識いただきました。私は5人きょうだいの御家庭の事例を紹介し、年間バス代として1人につき約3万円、6年間小学校に通うだけで約18万円かかり、この御家庭ではきょうだい5人全員が義務教育の小中学校9年間通うためには合計135万円を超えるという多額の交通費負担が必要になることを取り上げました。

2013年6月議会では2回目となる遠距離通学に関する一般質問を行い、スクールバスを運行するなど、遠距離通学児童生徒を支援する他都市の様々な取組を視察し、紹介。また、博多区の遠距離通学児童が下校途中に大型トレーラーに巻き込まれる事故に遭ったことを報告。本来、バスに乗って登下校することができるはずの遠距離通学児童生徒がなぜ歩いて下校しなければならなかったのか、遠距離通学児童が抱える課題を紹介し、公共交通機関を使って通学することが認められている児童生徒の交通費を助成すべきだと訴えました。その後、本市は公共交通機関を利用して通学する遠距離通学児童生徒に対して、就学援助世帯の児童生徒のみ交通費を2分の1助成する制度をつくりましたが、親の所得や経済状況によって教育委員会がわざわざ線引きをし、就学援助世帯以外は通学費の支援をしないということで格差が生み出されているのはなぜか、私は今でも疑問であります。

私たち公明党福岡市議団は、平成24年度以降、毎年、遠距離通学児童生徒の交通費を就学援助世帯だけではなく、交通費が発生している対象世帯に実費を助成すべきだと予算要望で訴えてまいりましたが、そのたびに、その在り方について検討してまいりますと答弁されるものの、一向に検討されてこなかった様子です。

速やかに遠距離通学費助成制度を創設し、義務教育である小中学校に通学するため交通機関を利用して通学している児童生徒には一律公平に実費相当の金額を補助し、登下校にかかる金銭的負担を解消すべきだと考えますが、答弁を求めます。

 

○副議長(山口剛司) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 遠距離通学費助成制度については、公共交通機関で通学している児童生徒の保護者の経済的負担を軽減するため、これまで就学援助制度において、小学校4キロメートル以上、中学校6キロメートル以上の通学費の全額、小学校2キロメートル以上、中学校3キロメートル以上の通学費の半額を支給しておりましたが、令和3年度からは小学校2キロメートル以上、中学校3キロメートル以上についても、全額を支給しております。さらに、全児童生徒を対象とした通学費助成制度については、保護者の負担軽減となる一方で、遠距離通学に係る様々な課題の整理を行う必要があり、今後、適切な支援の在り方について検討してまいります。以上です。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) 次に、給食費について伺います。

経済的に苦しくなったとき、家計で切り詰められるのは食費。貧困が原因で、朝御飯抜きで学校に登校する子どもたち。両親が働いているため、夕食も家で一人きりという家庭も今や珍しくありません。貧困が社会問題になる中、親が経済的にも困窮し、食事も満足に取れない子どもたちにとって、栄養バランスを考えられた学校給食は重要な役割を果たしています。本市の学校給食における保護者の年間負担額は、1人当たり小学校で4万6,200円、中学校で5万5,000円に上り、きょうだいがいる家庭ではその負担が倍になり、貧困家庭には大きな負担となっています。

公明党福岡市議団としても給食費の無償化を令和2年度から予算要望しておりますが、給食費の無償化は多額の費用を要することから、国に対して財政措置を要望していくとの本市の答弁をいただいています。具体的にどのような財政措置を要望しているのか、お伺いいたします。

 

○副議長(山口剛司) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 国に対しましては、保護者の経済的負担を軽減するため、学校給食費の無償化に必要な財政措置を講ずるよう、市長会等を通じて要望をしております。以上です。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) 我が国において法に定められている義務教育の無償化は、授業料と教科書代とされています。私は義務教育における給食費も国の責務の下に全国一斉に無償化されるべきだと思っていますが、なかなかそうはいかないようであります。しかし、既に多くの自治体では国からの財政措置がなくとも、自治体独自の政策として学校給食の無償化を実現しています。

ふるさと納税を活用して寄附受入れ総額日本一を勝ち取り、返礼品をめぐる国との訴訟も勝訴した人口約10万の都市、泉佐野市も令和3年度から学校給食費の無償化を実施しています。泉佐野市は、総額870億円以上という寄附金を集めたその成果による果実を、泉佐野市の子どもたちの学校給食に分配、還元しており、泉佐野市は率直にすばらしいなと私は感じました。政令指定都市で、人口規模が本市よりも大きな大阪市でも給食費の無償化は既に行われています。大阪市のホームページを見ると、年間約60億円が必要ながら、令和4年度も学校給食の無償化を継続すると発表しております。

仮に本市も市立学校に通う児童生徒全員分の学校給食費を無償化すると、市の財源としては幾ら必要になるのか、お伺いいたします。

 

○副議長(山口剛司) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 福岡市において学校給食費を無償化する場合の必要額については、1か月当たりの給食費に市立学校の対象児童生徒数約12万人を掛けて試算いたしますと、全体で約60億円となります。このうち、大阪市と同様に、生活保護や就学援助により公費で援助している金額を除くと、必要額は約47億円となります。以上です。

 

○副議長(山口剛司) 古川清文議員。

○17番(古川清文) 大阪市に住んでいる子どもたちは給食費が無償で、福岡市に住んでいる子どもたちは給食費が有償。住むところによって差があることを私たちはどのように子どもたちに説明すべきなのでしょうか。文部科学省が1,740自治体を対象に実施した平成29年度の学校給食の無償化等の実施状況調査の中で、無償化を開始した自治体に対し聞いたところ、目的として、1、食育の推進、人材育成、2、保護者の経済的負担の軽減、子育て支援、3、少子化対策、定住、転入の促進、地方創生などが挙げられました。給食費無償化による成果の例として、児童生徒向けには、自治体、地域への感謝の気持ちの涵養、栄養バランスの良い食事の摂取や残食を減らす意識の向上、給食費が未納、滞納であることに対する心理的負担の解消ということであります。保護者向けには、経済的負担の軽減、安心して子育てできる環境の享受、親子で食育について話し合う機会の増加、教育への関心の増加、給食費納入に係る手間の解消、また、学校、教職員向けには、給食費の徴収や未納、滞納者への対応負担の解消、食育の指導に関する意識の向上、また、自治体としては、子育て支援の充実、少子化対策、定住、転入の促進、食材費高騰による経費増加の際、保護者との合意を経ずに措置が可能であることなどが示されており、一定の効果があるように思います。財源も継続して必要なことから、給食費の無償化は大きな決断が迫られる政策ですが、コロナウイルス感染症の拡大における厳しい社会情勢を踏まえ、保護者の経済的負担軽減の観点から、幾つかの自治体で令和4年度も無償化を継続することが報道されております。国の調査はさらに、自治体に学校給食無償化に至った経緯について尋ねたところ、PTAからの要望、そして自治体の施策の一環、議会における議論、そして首長の公約、意向であったとの回答が多くを占めたそうであります。

給食費無償化を導入した自治体は首長の政治判断によるところがあるようですが、学校給食費無償化について髙島市長はどのように考えているのかお伺いし、私の質問を終わります。

 

○副議長(山口剛司) 髙島市長。

○市長(髙島宗一郎) 古川議員御指摘のとおり、子育て家庭の負担の軽減を図って、全ての子どもが心身ともに健やかに成長できる環境づくりに取り組んでいくということは大変重要であるというふうに認識をしております。学校給食に係る経費については、食材料費相当額のみを保護者の方に負担をしていただいておりまして、また、経済的な理由によって支援が必要な世帯に対しては生活保護や、また就学援助の制度などによって援助をしているところでございます。

学校給食費の無償化については、今お話があったとおり、47億円という真水のお金がさらにかかるという、大変多額の費用がかかり続けるということもあります。引き続き国に対しても財政の措置というものを要望していきたいというふうに思います。以上です。